たまには受身も悪くない
部長コラム

キャリアを積んでいる女性って、とにかく「頑張り屋」とか「努力家」と言われている人が多いですよね。
さらに最近増えてきたのが、言動がポジティブ&アクティブな人。目標を書き込んだ手帳で時間管理もバッチリ。残業を頑張った次の日にも早起きをして、颯爽とオフィスに向かう・・・そんなイメージです。
会社でも、上司やクライアントの「指示を待つ」なんてことはありません。常に相手がしてほしいことは何かを考えて、先に準備をしておいたり、新しい企画を練ってプレゼンテーションを提出したりと、能動的に働きます。
自分で言うのもなんですが、独立して3年目ぐらいまでの私って、そんなタイプでした。たくさんの先輩やライ
バルたちとの競争に勝ちたくて、頼まれている以上の業務をこなし、知らない出版社に企画書を持ち込んで、営業をしていました。おかげで、どんどん仕事は増えましたから、スケジュール帳はギッシリ。「毎日忙しい私」
に酔い、「ひっぱりだこかも!」とうぬぼれながら、
もっともっと、できるはず!
現状維持は後退と同じだ!
と、さらにポジティブ度を増していったのです。
その結果は?
◆仕事が楽しくなくなった!?
たしかに売上は伸びたし、クライアントにも覚えられ、レギュラー化した仕事を複数抱えて、安定したキャリアを手に入れたように感じていました。そしておせっかいにも、ポジティブに動くことをサボっている仲間をみつけると、「もっと頑張ろうよ!」と尻たたきまでしていたような・・・。
どこが転換点だったか、定かには思い出せなませんが、
ふと、
「せっかく、企画まで出して“やった”のに」
「ちゃんとして“あげる”ほど、甘えてくる」
と、クライアントに対して愚痴や非難の言葉が出てくるようになった自分に気がつきました。
頼まれてしたことではないくせに、恨みがましく“やった”だの"あげた”だのと言って。
* * *
ずっと張り切って仕事に打ち込んでいたのに、説明のつかない虚しさにおそわれたり、前と同じように楽しい気
分で原稿に向かうことができなくなったりしたとき、私は「積極的」「能動的」に動くのを止めてみました。
働くのが好きな人ならわかってくれると思うのですが、
それは、とても勇気のいることでした。
ある日、長いつきあいのクライアントから、「話がある」と呼び出されたときは、「あぁ、私が後ろ向きになって
いるのが伝わってしまったんだ。もう契約打ち切りかな」と、ネガティブな思考がぐるぐる。
重い足をひきずって、クライアントに会いに行くと、なんと原稿料の値上げと業務継続を言い渡されたのです。
その帰り道、私は電車の中で目がうるんでくるのを止められませんでした。うれしいような、かなしいような、複雑な心境--少し落ち着いてから思いました。
必死でオプションをつけなくても、求められていることを100%やっていれば、評価してもらえるのかなぁ。
と。
その日から、私は相手の要望を先回りして考えたり動いたりするのをやめにして、「今、感じていること」を言葉に出してやりとりするようにしてみました。
◆「受身」がもたらす効用
今でも、編集部に自ら企画を持ち込むことはあります。
ただし、以前のようにデザイン案や取材候補までがっつり書きこんだ、重た~いプレゼンではなく、
「あの会社に興味があるから、取材してみたいな」という程度の軽いプロポーズをするだけです。
「あ、私も面白いなと思っていたんですよ!」と相手が言ってくれたら、一緒にアイデアを出し合って、
企画を完成させていく・・・とても楽しくてラク。
ときには、
「これ、すきめしさんなら、いい取材してくださるんじゃないかと思うんですけど」と、アプローチを受けることも出てきました。私では思いつかないような企画も多く、「編集さんってエライ」と感謝しています。
受身って、悪いイメージでとらわれがちですが、相手のポジティブを引き出すためには必要なのかも。
うまくいっていないわけじゃないのに、何か息苦しい感じがする人は、前向き・積極的・自発的で「あらねばならぬ」という考えに縛られていないかどうか、一度チェックしてみてくださいね。
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